豆大福は,白地に黒の班点の模様がある,八割れとマンチカンの雑種である。確かに足は短い。性格はおっとりしている。それと呼応するするかのように太り気味である。彼は,御主人に猫パンチをしない。もちろん,嚙んだりすることも,爪を立てることもない。つまり,飼い主のいいなりなのである。なぬかし,パンダの赤ちゃんのような体型なので,可愛さ満載である。そんな豆大福が,へそ天で寝ている,その無防備な真っ白なお腹を御主人やみんなでもふることをしても,さらに母主が,その真っ白な,お腹に深く顔をうずめてすりすりしても,起きようともしない。全く,野性味を失くした猫なのである。自分は,人間のように仰向けになって,寝ている猫なんぞ見たことが無かったので,たいへん驚いた。猫のようで猫ではないと思えて仕方がない。

 ある日,2段ベッドの上が娘のベッドなのだが,母主は,そのベッドを掃除するためコロコロをもって,上にあがると,そこに豆大福が,可愛らしいへそ天の姿で,驚いた人のような瞳で,母主を見上げている。しかし,掃除したいため,温厚な母主が,「どいてよ。」と,何度もお腹を揺さぶる。が,動かない。すると,母主は,今度は,すこし強めに,コロコロで体の隅々まで撫で回した。が,それでも動こうとしない。こんなに,動かない猫は珍しい。

流石に我慢できなくなった母主は,豆大福の下を掃除するために,体を抱き上げて,移動させた。そして,それが少し無理やりだったので,手足の伸びをした。そして,動く気配であったが,今度は,大きな欠伸をしたかと思うと,再び横たわって,動き出す様子を微塵も見せない。それを見ていた父主は,「まるで,おっさんやな」と呆れてしまう。しかし,それがまた,可愛らしくて仕方がないのである。母主が,ベッドから降ろそうと階段の降り口まで,抱きかかえて運ぶが,頑として降りようとしない。それどころかほんの僅かな隙間を見つけて素早く移動し,くつろぎ出したかと思うと,また大欠伸をする。すると,父主が,すぐさま,「本当に,おまえ,人間のおっさんやな」と言って高笑いする。母主は,もうすっかり諦めてしまって,ニヤニヤしている。

  それから,豆大福の領地だけ残し,掃除をさっさと済ませると,最後に腹いせとばかりに,その真っ白なお腹に深く顔をうずめ,そして,気が済むまで何度も,すりすりしてベッドを後にした。

-好きな猫動画シリーズ②-

 

 「追伸」 猫を3匹以上買っている場合,猫は自分以外の猫の名前をすべて,はっきりと認識していることが,京都大学の実験研究で証明された。また,猫は人の会話もよく聞いていることも分かった。つまり,人間の言語というものを猫が理解しているかどうか,不明であったのが,この実験によって,解明されたことになる。